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フランボワイヤン・ワールド
世界の終わりの話
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 小説
イオの末裔
〔Kindle版〕

販売開始しました。
《内容》
 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。



第二部 神話・終末文書に描かれた終末
第二章 直線的歴史と終末
概説

■ユダヤ・キリスト教の終末文書

 世界にはただ一度の始まりと終わりがあり、その間、時間は一直線に進んでいくという考え方は、古代のユダヤ教・キリスト教の世界で誕生したといわれている。とくに、紀元前2世紀頃から5世紀頃まで流行した黙示文学が、この考え方を基礎づけることになった。
 ユダヤ教・キリスト教の黙示文学は、いままさに終末が到来しようとしている、と主張する文献である。この終末は宇宙論的な破局であり、疫病や戦争、飢饉などがその前兆となる。しかも、これは単なる終わりではない。終わりの時にはメシア(救世主)が出現し、選ばれた者だけが幸福に暮らす王国が樹立され、それ以降永遠に続くとするのである。終わりの時には、死者たちも復活し、最後の審判を受ける。メシアの来臨と最後の審判の間に千年王国が存在するという考え方もある。千年王国は終わり以前の時代に義人として生きた者たちが暮らす平和の楽園である。
 このような黙示文学がユダヤ教の世界に登場したのはダニエル書が最初である。ダニエル書は旧約聖書正典に含まれているが、書かれたのは紀元前164年で、旧約聖書の中では最も遅く成立したものである。したがって、旧約聖書の中にはダニエル書を除けば黙示文学と呼べるものは存在しない。ダニエル書以降に黙示文学は大いに流行したのである。
 キリスト教はちょうどこの時期に誕生したので、そもそもの初めから終末論的な思想を背景にしている。新約聖書の福音書の中にも終末論的な言説が含まれているほかにも、1世紀以降に有名なヨハネの黙示録などが書かれている。
 これらの黙示文学は元来、他の民族や国家の支配下に置かれて抑圧された人々の抵抗の文学として書かれたものである。ダニエル書は、前2世紀頃のセレウコス朝アンティオコス4世によるユダヤ教徒に対する大迫害の時代に、それに抵抗するものとして書かれているし、ヨハネの黙示録はローマの支配に抵抗したものである。黙示文学には、現在は悪が支配する時代だと考える特徴があるが、それはこのような背景を持つからで、その上で人々を元気づけるためにもうすぐその時代は終わると語るのである。
 本章では、このようにして書かれたユダヤ教・キリスト教黙示文学の終末論を紹介している。イスラム教のコーランをここに含めたのは、これはユダヤ教の系譜に属するものと考えられるからである。 
世界の終わりの話目次
第1部 世紀末と終末論
世紀末と終末論の基礎知識
歴史観と終末論の種類
世界の紀年法と暦法

第2部 神話・終末文書に描かれた終末
第1章 円環的な歴史の中の終末
概説
洪水神話
北欧神話の終末(ラグナレク)
ヒンズー教の終末(永劫回帰)

第2章 直線的歴史と終末
概説/ユダヤ・キリスト教の終末文書
ダニエル書の描く終末
ヨハネの黙示録の描く終末
死海文書が描く終末
エチオピア語エノク書に描かれた終末
シリア語バルク書が描く終末
シビュラの託宣が描く終末
エズラ記(ラテン語)に描かれた終末
マラキ書が描く終末
コーランに描かれた終末

第3章 異教の終末文書
概説
ゾロアスター教の終末
仏教と末法思想の終末
マヤ・アステカ神話の終末
グノーシス主義が描く終末
パウロの黙示録に描かれた終末

第4章 千年王国思想
概説
『神の国』の千年王国
フィオーレのヨアキムが語る千年王国
カンパネッラの語る『太陽の都』

第三部 19世紀の世紀末と終末観

近代にも生きている終末思想
進化の果てに訪れる絶望的世界―H.G.ウエルズ『タイム・マシン』―1895
世紀末の人工ユートピアを求めて―J.K.ユイスマンス『さかしま』―1884
あとがき―未来が終末を迎えた 

 小説
イオの末裔
〔Kindle版〕

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《内容》
 教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。

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