小説
イオの末裔
〔Kindle版〕
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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サムエル記 |
最後の士師サムエル(3) |
ペニナ |
Peninnah|「真珠」|ヘブライ語 |
■多産こそが価値
エルカナの妻。嫉妬深く、邪険だった。
エルカナには2人の妻がいたが、おそらくはペニナは第二夫人で、ハンナが第一夫人だったのだろう。彼女は何かにつけてハンナに対して敵愾心を燃やし、夫が自分以上にハンナを愛していることに激しい嫉妬を感じていた。
そんな彼女にとって唯一の救いは、ハンナには子がないのに、自分には息子も娘もいるということだった。
このことにペニナは常軌を逸した優越感を持っており、普段から子供の話題でハンナを苦しめていた。
エルカナの家族は毎年の巡礼でシロの町に上っていたが、このときはペニナがハンナをいじめる大きなチャンスだった。
シロの町で生け贄を捧げる日には、家族の一人一人に生け贄の分け前が与えられたが、子のないハンナはいつも1人分しかもらえなかったからだ。
「あら、また1人分なのね」こんなことをペニナは言ったのだろう。
このためハンナはいつも泣いて、分け前を食べることもできなかったが、それがまたペニナには面白かったのである。 |
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