小説
イオの末裔
〔Kindle版〕
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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サムエル記 |
大祭司一族の堕落(2) |
エリ |
Eli|「高められた」|ヘブライ語 |
■ただ善良なだけでは……
シロの町の神殿の善良な大祭司。しかし、老齢のせいかいささか頼りなく、悪行を働く2人の息子ホフニとピネハスを放任した罪のために神に滅ぼされることになった。
後に士師となるサムエルはエリのところで下働きをしながら成長したが、ある夜、神が初めてサムエルに語りかけた。
「わたしはエリに告げ知らせた。息子たちが神を汚す行為をしていると知っていながら、とがめなかった罪のために、エリの家をとこしえに裁く、と」。
サムエルから一部始終を聞いたエリはかなり驚いたに違いないが、「それを話されたのは主だ。主が御目にかなうとおりに行われるように」と少しも取り乱すことなく言った。
エリ自身はそれほど敬虔な人物だった。
しかし、神の言葉は実現することになった。やがてペリシテ人との間に戦争が起こって彼の2人の息子は死に、敵に神の箱を盗まれるという大事件が起こった。
この報告を聞いたエリはあまりに動転し、自分の席から仰向けに落ちて首の骨を折って死んでしまったのである。 |
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