小説
イオの末裔
〔Kindle版〕
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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サムエル記 |
大祭司一族の堕落(1) |
ホフニ |
Hophni |
■大祭司の馬鹿息子
シロの町の神殿の大祭司エリの息子。エリには他にピネハスという息子もいたが、兄弟ともに祭司でありながらとんでもないならず者で強欲だった。
神殿ではしばしば人々が神に捧げる生け贄の肉を持ってきて、煮たり焼いたりしていたが、ホフニたちは祭司の下働きに命じ、それらの肉を好き勝手に取り上げて私腹を肥やしていた。
人々が決まりに従って神に捧げる脂肪を焼いてから分け前を与えようとしても、「生でなければならない」といって、力ずくで奪ってしまうのである。
神への捧げ物を横取りするのは明らかに神をないがしろにする行為だが、彼らはその上に娼婦たちともしばしば関係を持つような堕落した祭司だった。
こうした悪い噂は年老いたエリの耳にも入り、エリは大いに悩むと息子たちを呼んで頻繁に説教した。生真面目なエリのことだから、最初は卒倒するほどびっくりしたに違いない。
しかし、堕落しきったホフニたちは、年老いた父の説教などまったく聞く耳持たず、悪さを繰り返した。
さすがの神もこれには腹が立ち、エリの家系を絶やすことにしたのである。 |
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