小説
イオの末裔
〔Kindle版〕
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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サムエル記 |
大祭司一族の堕落(4) |
イカボド |
Ichabod|「栄光は失われた」|ヘブライ語 |
■神の栄光は失われた
シロの神殿の大祭司エリの孫で、祭司ピネハスの息子。ペリシテ人に神の箱を奪われるという屈辱的事件のさなかに生まれた。このために彼は母にさえ祝福されず、イカボドという名前を与えられた。
ペリシテ人との戦いで、2人の祭司ピネハスとホフニも死に、神の契約の箱が奪われたという報告がシロの町に届けられたときのこと。ピネハスの妻は出産間近の身だったが、夫だけでなく舅のエリまでが死んだという知らせを受けて、ショックのあまり陣痛に襲われた。
こうして生まれたのがイカボドだった。
母に付き添っていた女たちは男子の誕生を喜び「恐れることはありません。男の子が生まれました」といったが、彼女は神の箱も奪われたことを知っていたので、まったく喜ぶことができなかった。
彼女は、すでに栄光はイスラエルを去ったと考え、絶望して自分の子供にイカボドという名前をつけたのである。
しかし、エリの家系の中ではイカボドだけが生き残り、その血筋を後代に伝えることになったのだった。 |
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