小説
イオの末裔
〔Kindle版〕
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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サムエル記 |
アブサロムの乱(4) |
シムイ |
Shimei|「名声のある」|ヘブライ語 |
■こんなことになるなんて
サウル王家出身の男。
サウル王家はペリシテとの戦争中に滅びたが、その出身部族であるベニヤミン族の中には、サウルを滅ぼしたのはダビデだとする考えが根強かったといわれる。
シムイもそう考えてダビデを恨んでいた1人だが、絵に描いたようなお調子者で、手痛いしっぺ返しを喰うことになった。
アブサロムの乱でダビデがエルサレムから逃亡したときのこと、バフリムに住んでいた彼は、偶然にも家の近くを通りかかったダビデ一行を見ると、「出て行け、出て行け。流血の罪を犯した男、ならず者!」といってダビデをののしった。
ダビデを恨んでいたシムイにしてみれば溜飲の下がる思いだったろう。
とはいえ、シムイが調子に乗れたのもこのときだけだった。
やがてアブサロムが死んでダビデがエルサレムに戻るときには、シムイは情けないほど卑屈になって、あのときのことは許してくれとダビデに訴えている。
が、ダビデも人間。その場では手を下さなかったが、年老いて死ぬときになって、シムイに復讐しろという遺言をソロモン王に残した。このため、シムイは殺されてしまった。
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