小説
イオの末裔
〔Kindle版〕
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《内容》
教団拡大のために凶悪な犯罪もいとわない《鬼神真教》の教祖・サヤ婆(鬼塚サヤ)の孫として生まれた鬼塚宏樹(主人公=私)は鬼塚一族の残酷な行為を嫌って一族の家から逃亡し、裏切り者として追われる身になる。その恐怖から彼は各地を転々として暮らすしかない。やがて彼は大都市のK市である女に出会い、一時的に幸福な暮らしを手に入れる。だが、そんなある日、大都市の町中でサヤ婆を狂信する磯崎夫妻の姿を見つける。そのときから、彼の恐怖の一日が始まる。恐るべき鬼塚一族の人々が次々と彼の行く手に出現する。…、そして、彼の逃亡がまた始まる。はたして、彼は逃げ切れるのか。鬼塚一族の魔の手を逃れ、自由な暮らしを手に入れられるのか。 |
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トビト記 |
トビトの家族と天使ラファエルの活躍(8) |
ハンナ |
Anna|「優雅」|ヘブライ語 |
■息子の帰りを待ち続ける
トビトの妻。優しく心配性の女である。
息子トビアは、父が親戚ガバエルに預けた銀を受け取るために旅に出たが、途中でサラと結婚することになったので、予定の日数を過ぎても帰ってこなかった。
そのうちトビトは何かあったのではと心配になってきたが、ハンナの心配の仕方はその比ではなかった。
「わたしのかわいい息子は死んでしまい、もう生きてはいない」とハンナは嘆いた。「ああわが子よ、なぜわたしの目の光であるお前を行かせてしまったのだろうか」。
トビトはあれこれと慰めの言葉をいったが、ハンナの嘆きは収まらなかった。
「何もおっしゃらず、放っておいてください。気休めはもうたくさんです。かわいい息子は死んでしまったのです」。
こういいながらもハンナは家の外に出て息子の帰りを待ち続け、夜は家の中に入って声を上げて嘆き続けた。
それだけに、息子が帰ってきたときの喜びようは大変で、息子の姿を見つけるやすぐにトビトに知らせ、それから家の外に飛び出すと走って行って息子の首に抱きつき、声を上げて泣き出した。 |
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